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2015年5月26日 (火)

オーストラリアの不動産法制度

オーストラリアでは、日本と同じく私人(個人、私企業等)が土地を所有することが認められています。これと比較して、例えば、中国では土地は全て国家等が保有しており、私人は国家等が所有する土地の使用権(50年、70年といった長期の土地使用権)が認められるに過ぎません。 

  厳密に言うと、オーストラリアの土地は全て究極的には君主(国家)が所有するものとされており、国家が私人に対して土地に対する権利を設定することによって、私人は土地を利用できる権利を得ることになります。この土地を利用できる権利は、FreeholdLeasehold2種類があり、前者には相続可能で無期限に土地を使用・処分できる権利(Fee Simpleと呼ばれます)があり、これは所有権とほぼ同じものといえます。後者は一定の期間土地を使用できる権利であり、地上権のようなものといえます。したがって、本稿では、基本的にFee Simpleを所有権と同視しても構わないと考え、私人がFee Simpleを取得できることをもってオーストラリアでは私人は土地の所有権が取得できると記載しています。

オーストラリアでは、日本と異なり、土地と建物は別の不動産として扱われておらず、建物は土地の附着物として扱われます。したがって、不動産の登記は土地に関するもののみであり、また、土地と建物を別々に譲渡することはできません。建物を土地から切り離せば(建物を土地の附着物ではなくせば)、建物のみを譲渡することは可能ですが、このようなケースは非常に例外的です。

日本では不動産の登記は対抗要件に過ぎず、登記された権利関係と実際の権利関係が異なることもありえますが、オーストラリアでは不動産に関する権利(所有権、抵当権等)は登記することによって発生することになっています。すなわち、不動産に関する権利が登記されることによって当該権利が発生し、登記されている者が実際に当該権利を有しているものとされます(Title by Registrationと呼ばれます)。したがって、登記された権利関係と実際の権利関係は常に同じであることになります。オーストラリアで不動産を取得する場合、当該不動産の所有者として登記された者から不動産を取得して登記を行えば、取得者は不動産の所有権を有効に取得できることになります(取得者の不動産の所有権は誰も争えなくなり、これはIndefeasibilityと呼ばれます)。

 

但し、例外的に、詐欺的行為(Fraud)によって不動産の登記を行った者に対しては、当該登記によって権利を害された者は当該登記の無効を請求することができます。詐欺的行為は、人として不正直な行為(personal dishonesty)又は道徳的に卑劣な行為(moral turpitude)をいうとされています。たとえば、書類を偽造して登記を行った場合には詐欺的行為に該当します。

 

なお、オーストラリアでは不動産に関する法制度は、(連邦法ではなく)州法の管轄事項であり、州毎に不動産に関する法制度は異なっていますが、上記のような基本的な点についてはいずれの州法においてもほぼ同じ内容となっています。

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