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2015年5月24日 (日)

オーストラリアの登記情報の利用の具体例

以前にオーストラリアにおける公的情報の入手方法について説明しましたが、今回は、オーストラリアで公的情報を利用して、取引相手から開示されなかった情報を入手した例2つ紹介します。

 

1つ目の例ですが、オーストラリアのディベロッパーが進めている不動産の開発プロジェクトに日本企業が投資を行うという案件で、既に同プロジェクトに投資している投資家がいるのですが、ディベロッパーがこれらの投資家の名前を明かさないということがありました。日本企業は、この開発プロジェクトの対象となっている不動産の登記情報を取得したところ、特別目的会社(Special Purpose Company)が不動産所有者であることが判明しました。この特別目的会社の会社の登記情報を取得したところ、ディベロッパー以外に2社の会社がこの特別目的会社の株式を所有していることが判明しました。この登記情報の調査により、この2社の会社が、ディベロッパーが名前を明かさなかった投資家であることが分かりました。

 

2つ目の例ですが、日本企業がオーストラリアで何箇所ものデータ・センターを運営している会社と取引を行おうとしたところ、当該会社はデータ・センターの顧客(データ・センターにサーバーを置いている顧客)の情報を開示しませんでした。そこで、このデータ・センターの所在地の不動産の登記情報を取得したところ、登記情報にはデータ・センターの賃貸借の情報が記載されていました(クィーンズランド州では3年を超える賃貸借は登記しなければ登記された権利に対抗できないことになっているため、3年を超える賃貸借は登記する必要があります)。データ・センターにサーバーを置いている顧客は、データセンターの運営会社からデータ・センターのスペースを賃借して、サーバーを設置していたため、賃貸借の情報が不動産の登記情報に記載されていたのです。こうして日本企業はデータ・センター運営会社の顧客が誰であるかを知ることができました。

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