会社の設立
オーストラリアでは、会社(Corporation)の設立は日本よりも簡単かつスピーディーに行うことができます。
以下の書類をそろえてオンラインで申請をすることにより、24時間以内に会社の設立登記が完了します。
取締役(Director)選任に関する同意書 |
取締役は最低1名必要であり、取締役のうち少なくとも1名はオーストラリア在住である必要があります。なお、秘書役(Secretary)の選任は必須ではありません。 |
株主になることの同意書 |
発行株式数1株、資本金1ドルでも問題ありません。 |
登録上の住所の使用に関する同意書 |
会社設立時には法律事務所等の住所を会社の登録住所として登録するのが一般的であり、設立登記申請時に当該住所を会社の住所として使用することについて占有者から同意書を取得する必要があります。 |
いずれの書類も同意者による署名が必要になりますが、オンラインでの会社設立の登記申請時において、署名済の同意書を会社登記機関(ASIC)に提出する必要はありません。署名済の同意書がありさえすればよいことになります。オンラインの画面上で、会社の名前、会社の登録上の住所、取締役の名前・住所・生年月日、資本金の金額、発行する株式数等の情報を入力することになります。
会社の資本金は会社設立の申請時に定めることになりますが、実際に資本金の金額が会社設立時に払い込まれている必要はありません(日本と異なり、会社登記機関が資本金の払込を確認することはありません)。実務上は会社が設立されて、会社が銀行口座を開設した後で株主が資本金の金額を会社の銀行口座に入金することが行われています。
日本の会社設立と異なり、定款(Constitution)の作成は必須ではありません。オーストラリアの会社法にはReplacebale
Rulesという会社の内部管理について定めている規定があり、定款を定めない場合には、デファクトのルールとして会社に適用されます(Replaceable
Rulesの一覧は会社法第141条に規定されています)。会社は定款を定めて、このReplaceable Rulesの適用を排除することもできます。定款を作成する場合であっても、日本のように公証人による認証が必要になることはありません。
日本のように会社の代表者印を作成する必要はありません。
オンラインでの会社設立の登記申請は、会社登記機関に対してオンラインでの申請ができるシステムを有しているサービス業者(例えば、Acis - https://www.acis.net.au/index.php)を通じて行うのが一般的です。
会社登記機関に対して支払う費用は固定額の463ドル(2015年8月7日現在)であり、上記のサービス業者に対して支払う費用を含めると700ドル程度です。日本の会社設立の際の登録免許税のように資本金の額に応じて支払う費用が変わってくるといったことはありません。
オーストラリアの会社法は連邦法であり、会社の設立手続は連邦法である会社法に基づいて行われるため、全国同一であり、州毎に異なるといったことはありません。
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