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2015年8月14日 (金)

会社の解散

前回は会社の設立について説明しましたが、今回はその反対の会社の解散について説明します。

オーストラリアでは、会社は「登記抹消(deregistration)」によって法人格を失い、法的に存在しなくなります。会社の登記抹消をする方法には、「清算手続(winding up)を経ない登記抹消」と「清算手続を経た上での登記抹消」の2通りがあります。 

1.清算手続を経ない登記抹消

「清算手続を経ない登記抹消」は最も簡単な登記抹消の方法であり、以下の条件が全て満たされている場合にのみ行うことができます。

(1) 会社の全株主が登記抹消に同意していること

(2) 会社が事業を行っていないこと

(3) 会社の資産が1,000豪ドル未満であること

(4) 会社法上支払う必要のある費用及び罰金を全て支払っていること

(5) 会社が債務(偶発債務を含む)を負っていないこと

(6) 会社が訴訟手続の当事者となっていないこと

上記の全ての条件が満たされている場合、会社はASIC(登記機関)に登記抹消の届出を行います。届出を受けたASICは会社の登記抹消の公告を行い、公告から2ヶ月が経過した時点で会社の登記は抹消されます。

清算手続を経ない登記抹消は簡便であり、時間・費用ともに節約することができますが、事業を行っている会社を清算する場合、上記の6つの条件(特に下線を引いた(3)と(5)の条件)が満たされていることは非常に稀です。

清算手続を経ない登記抹消が使われるケースとしては、例えば、会社を設立したものの全く事業を行わずに解散することになった場合や、事業を行っていた会社が全ての事業を第三者に売却し、その事業売却契約上の売主の保証債務も保証期限が経過して消滅している場合があります。

2.清算手続を経た上での登記抹消

清算手続を経た上での登記抹消では、会社に「清算人(liquidator)」が選任され、清算人が会社の資産を換価処分し、会社の債務を弁済した上で、残余財産があれば株主に払い戻す清算手続を行い、その後でASICに対して会社の登記抹消の届出を行います。

清算手続には、「強制清算(compulsory winding up)」と「任意清算(voluntary winding up)」の2種類があります。

前者は、債権者等が裁判所に対して会社の清算を申立て、裁判所がこの申立を認めることによって清算手続が開始します。清算人は裁判所が選任します。

後者は、会社が株主総会において会社の清算を決議し、清算人を選任することによって清算手続が開始します。

いずれの場合においても、清算手続の開始から終了まで少なくとも3ヶ月、長ければ1年以上かかることもあります。清算手続の終了後、清算人はASICに対して会社の登記抹消の届出を行い、届出から3ヵ月後に会社の登記は抹消されます。

また、清算人は、原則として、一定の学位や実務経験を有し、適切な経験、能力及び人格があると認められてASICに清算人として登録されている者(「登録清算人(registered liquidator)」)しかなることができません。登録清算人の多くは、清算業務を専門とする会計士になります。このような外部の専門家である登録清算人を選任すると、その報酬として少なくとも1万ドル~2万ドル程度がかかり、費用がかさみます。但し、例外的に、非公開会社(Proprietary Company – 会社名の最後がPty Ltdとなっている会社でオーストラリアの非上場会社のほとんどがこれに該当します)の清算で、かつ会社の取締役が会社に債務を弁済する能力があることを宣言(declaration of solvency)する場合等には、登録清算人以外の者(たとえば、会社の取締役や従業員)を清算人に任命することができます。この例外を利用すれば、登録清算人を使用せず、費用を抑えることができますが、清算業務は煩雑で専門能力を必要とするため、よほど単純な清算案件でない限り、登録清算人を清算人に選任するのが一般的です。

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