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2016年6月

2016年6月12日 (日)

オーストラリアの倒産手続(外部管理)について留意すべき点

前回はオーストラリアの倒産手続(外部管理)の概要について説明しましたが、今回はオーストラリアの倒産手続(外部管理)について留意すべき点を以下に記載します。

 

1.外部管理の公示

会社が外部管理に入った場合、ASICに届出がなされ、当該会社のASIC登記情報には当該会社が外部管理に入っていることが表示されます。また、当該会社は、外部管理に入った後は、その作成する文書において、外部管理に入ったことを示す記載を会社名に併せて記載しなければなりません。これらによって当該会社と取引に入ろうとする者は当該会社が外部管理に入っていることを知ることができます。

 

2.DIP型手続

日本では、民事再生手続のように支払不能となった会社の取締役(経営陣)が当該会社の管理を行なう権限を保持したままで行なわれる倒産手続(一般にdebtor in possessionDIP)型手続といわれます)がありますが、オーストラリアでは、上記のとおり、支払不能となった会社の倒産手続は外部の専門家が会社の管理権限を掌握した上で行なうことになりますので、DIP型手続をとることはできません。

 

3.外部管理者となるための資格

レシーバー、管財人又は清算人は、ASICに登録されている登録清算人(registered liquidator)でなければ就任することができません。登録清算人として登録されるためには会計の資格等が必要となるため、登録清算人の大部分は会計士となっています。このため、日本では管財人や清算人には弁護士が就任するのが通常ですが、オーストラリアでは会計士が就任するのが通常です。オーストラリアには、登録清算人を多く有し、外部管理に関する業務を専門として行っている会計事務所が多くあります。著名な会計事務所としては、PPB AdvisoryMcGrathNicolFerrier Hodgson、Korda Menthaがあります。

 

4.破産取引阻止の義務

オーストラリアでは、会社の取締役は、会社が支払不能状態である、又はこれ以上債務を負うと支払不能状態に陥る可能性がある場合には、会社が更なる債務を負う行為(破産取引(insolvent trading)と呼ばれます)を行うことを阻止する義務を負っています。このため、会社が支払不能状態に陥った、又は支払不能状態に陥る可能性がある場合には、取締役は会社がこれ以上債務を負うことがないように、会社に対して倒産手続(任意管理手続又は清算手続)を開始しなければなりません。この破産取引阻止の義務に違反した場合、取締役は裁判所から民事制裁や刑事罰を課され、また、会社の破産により損害を蒙った無担保債権者の損害額を会社に支払うように命令される可能性があり、違反した場合の責任は非常に重いものとなっています。したがって、オーストラリアでは会社が支払不能の状態になったにもかかわらず倒産手続を開始せずに外部者と取引を継続するというケースは少ないといえます。

 

5.モラトリアム

任意管理手続が開始された場合、担保権を有する債権者は、原則として、担保権の実行を行うことができなくなります。これはモラトリアムと呼ばれ、各担保権者が個別に担保物を処分することによって会社の事業全体としての価値が損なわれることを防止するために認められています。レシーバーシップや清算手続ではモラトリアムは認められません。

但し、モラトリアムの例外として、全資産担保権を有する債権者は、管財手続の開始の通知を受け取ってから13営業日以内であれば担保権を実行することができることになっています。したがって、全資産担保権を有する債権者はこの期間内に担保権の実行(レシーバーの選任等)を決断する必要があります。

任意管理手続を行う場合、清算手続と異なり、管財人が会社の事業を継続することができ、かつ上記のモラトリアムによって担保権の行使を防止することができるため、会社の事業全体をGoing Concernとして売却したい場合には、清算手続ではなく任意管理手続が利用されます。

 

6.取引の否認

オーストラリアにおいても、清算手続において、清算人が支払不能状態にある際に行なった偏頗弁済等の一定の取引について否認をすることが認められています。但し、このような否認権を有するのは、清算手続における清算人のみであり、任意管理手続における管財人には否認権を有しません。任意管理手続は迅速に会社の再建手続を行なうことを目的としており、否認権の行使を認めるとその処理に時間がかかってしまい、再建手続が迅速に行なえなくなってしまうことが理由とされています。

 

7.レシーバーシップと任意管理手続の関係

会社に対してレシーバーと管財人の両方が選任されることは可能であり、実際にそのようなことはよくあります。例えば、全資産担保権を有する債権者が会社に対して管財人とレシーバーの両方の選任を同時に行なうことによってこのような事態は生じます(この場合、管財人とレシーバーは別の者が選任されなければなりません)。法律上、レシーバーの権限は管財人の権限に優越することが定められています。したがって、レシーバーはその選任の根拠となった担保権の対象である担保物に関して、管財人に優先して権限を行使することができます。すなわち、任意管理手続が行なわれているにもかかわらず、レシーバーは当該担保物を処分して、その代金をレシーバーを選任した債権者に対する債務の弁済に充てることができます。レシーバーの選任の根拠となった担保権が全資産担保権である場合、レシーバーは会社の資産全部に対して管理を行い、会社の経営をコントロールすることができます。管財人も会社の資産及び経営をコントロールする権限を有しますが、この権限はレシーバーの権限に劣後するため、実際にはレシーバーが会社の資産及び経営をコントロールすることができます。

オーストラリアの倒産手続(外部管理)

オーストラリアでは、会社が「支払不能(insolent)」に陥った際には、外部の専門家が選任されて当該会社の管理を行なう(当該会社の取締役は当該会社を管理する権限を失う)という制度になっています。外部の専門家が会社の管理を行なうことを「外部管理(external administration)」といいます。外部管理の手続には、(1)レシーバーシップ(receivership、(2)任意管理手続(voluntary administration、及び(3)清算手続(winding up3つの種類があります。

上記の「支払不能」とは、弁済期が到来した債務を弁済することができない状態をいいます。したがって、債務超過ではない会社であっても弁済期が到来した債務を弁済するに足りるキャッシュが無ければ支払不能となります。

上記の3種類の外部管理について、以下概要を説明します。

 

1.レシーバーシップ

レシーバーシップは、通常は、担保権を有する債権者が当該担保権の実行として担保提供者(会社)に対してレシーバー(receiver)を選任することによって開始されます。レシーバーシップは、倒産手続というよりは、担保権の実行方法の一つです。選任されたレシーバーは、選任を行なった債権者のために、担保権の対象となっている担保提供者の資産を管理・処分し、当該資産から回収した金銭を当該債権者に分配することによって当該債権者に対する債務を弁済します。オーストラリアでは、会社の全ての資産に対して担保権を設定する全資産担保が利用されることが多いですが、全資産担保権を有する担保権者が選任したレシーバーは、当該会社の全資産を管理する、すなわち当該会社の経営をコントロールすることができることになります。レシーバーシップは、債権者に対する債務が全て弁済された時点で終了するのが通常です。レシーバーシップに相当する制度は日本には存在しないといえます。

 

2.任意管理手続

任意管理手続は、日本の民事再生手続及び会社更生手続に相当する再生型手続です。任意管理手続は、支払不能状態にある会社のうち再建できる可能性があるものに対して、管財人(administrator)が選任されることによって開始されます。管財人を選任することができるのは、(1)会社(会社の取締役会)、(2)会社に対して全資産担保権を有する債権者、及び(3)清算人のいずれかに限られます。選任された管財人は、債権者全体の利益のために行動し、会社の事業・財務情況を調査した上で、債権者集会において、①「会社再生契約(deed of company arrangement)を締結した上で会社を存続させること」、又は②「会社を清算すること」のいずれかを提案します。債権者集会において①が承認された場合、会社は管財人との間で会社再生契約を締結し、その後、会社は会社再生契約に従って経営されます。通常は、会社再生契約によって債権者の債権は減額、弁済期の延期等がなされます。②が承認された場合、管財人は清算人となり、会社の清算手続を進めることになります。

 

3.清算手続

清算手続は、日本の破産手続に相当する清算型手続です。清算手続では、清算人(liquidator)が選任され、清算人が会社の資産を処分し、換金した金銭を債権者に分配した上で、会社の登記抹消手続を行って会社を消滅させます。

支払不能状態にある会社の清算手続には、「強制清算(compulsory winding up)」と「任意清算(voluntary winding up)」の2種類があります。

「強制清算」は、会社(会社の取締役会)又は債権者が裁判所に対して申請を行い、これに対して裁判所が清算命令を出し、清算人を選任することによって開始します。

「任意清算」は、株主総会の特別決議によって会社の清算を決議し、清算人を選任することによって開始します。

選任された清算人は、債権者全体の利益のために行動し、会社の債権を回収し、会社の財産を現金化した上で、会社の債権者に対して債権額に比例して弁済を行ないます。任意管理手続の場合には手続開始後も管財人が会社の事業活動を継続しますが、清算手続の場合には会社の事業活動は原則として停止されます(清算人は会社の資産の売却又は清算に必要な限度でのみ会社の事業活動を行なうことができます)。

清算人は債権者への弁済を行なった後、清算結果について裁判所の命令を得るか(強制清算の場合)、又は株主総会及び債権者集会の承認を受けます(任意清算の場合)。これらの命令又は承認がなされた後で、ASICは会社の登記を抹消し、会社は消滅することになります。

2016年6月10日 (金)

オーストラリアにおける区分所有法

オーストラリアにおいても、日本と同様に区分所有物件は存在します。区分所有物件の例として、マンション、タウンハウス、大規模商業施設等といったものがあります。

オーストラリアの不動産法は州法が管轄する分野であるため、区分所有法は州法によって規定されており、州毎に内容は異なっているのですが、オーストラリアの区分所有法の概要は以下のようなものとなっています。

区分所有物件は、日本と同様に、「専有部分(Strata Lot)」と「共用部分(Common Property)」に分かれています。専有部分(マンションの部屋、専用駐車スペース等)については各区分所有者が排他的に所有・利用でき、共用部分(廊下、階段、ロビー等)については区分所有者が全員で共有するものとなります。各専有部分と共用部分は、それぞれ個別に登記がなされ、個別の権利証書(Certificate of Title)が発行されます。

区分所有者はその所有する専有部分が区分所有物件全体に占める割合(持分割合:Unit Entitlement)に応じて区分所有物件に対する権利(物件管理に関する決定等)及び義務(管理費用の負担等)を有することになります。この持分割合は、必ずしも専有部分の床面積の割合のみによって定まるのではなく、その専有部分が区分所有物件全体に占める価値に応じて定められている場合が多いといえます。したがって、例えば、マンションの中で眺望の良い部屋の場合、同じ面積であるにもかかわらず、同じマンションの眺望の悪い部屋よりも、持分割合が高く設定されているということがあります。

不動産(土地及びその上の建物)を専有部分と共用部分に区分した区分所有図面(Strata Plan)を作成し、これを登記機関において登記することによって当該不動産は区分所有物件となり、当該不動産にかかる区分所有権が発生します。区分所有物件が複数階から成るものである場合、各階の図面が作成され、当該図面上において当該階における専有部分と共用部分が表示されます。また、各専有部分の区分所有物件に対する持分割合もこの時に定められて、登記されます。

Strata Planのサンプル(NSW州のもの)は、こちらでみることができます。これはStrata Plan全体のうちの4階(Level 3 - 注:オーストラリアでは1階はGround Floorと呼ばれ、2階がLevel 1と呼ばれます)の一部分であり、PT+番号」と表記されている部分が専有部分であり、「Common Property」と表記されている部分が共用部分になります。NSW州のStrata Planに関する詳細な説明は登記機関(Land & Property Information)が発行しているStrata Plan Fast Factに載っていますのでご参照ください。

区分所有物件には、区分所有者の全員がメンバーとなる管理法人(Body Corporate又はOwners Corporation)が設立され、この管理法人が共用部分の管理等を行います。管理法人の意思決定は、管理法人の総会(区分所有者からなる会議)において決定されます。区分所有者は、その持分割合に従って管理費用(Levy)を管理法人に支払います。

区分所有物件には管理規約(By-Law)が定められます。この管理規約に従って、区分所有者は専有部分を使用し、また、管理法人の運営(共用部分の管理等)を行なうことになります。

以上がオーストラリアの区分所有法の概要になりますが、基本的な仕組みは日本の区分所有法とそれほど大きくは変わらないといえるかと思います。

2016年6月 2日 (木)

オーストラリアにおける外国会社の事業活動に関する規制

オーストラリア法においても、日本法と同様、外国の会社が、現地の法律(オーストラリア法)に基づく会社を設立せずに、外国会社として事業活動を行うことは可能です。

日本の会社法においては、外国会社(日本以外で設立された会社)が日本において継続して取引行為を行おうとする場合には、日本における代表者を定め、外国会社の登記をしなければならないとされています(日本の会社法第817条第1項、第933条)。また、当該登記をした外国会社であって日本の株式会社に類似するものについては、日本においてその貸借対照表を公告することが求められます(第819条)。

オーストラリアにおいてもこれとほぼ同様の規制があります。オーストラリアにおいて事業活動を行おう(carry on business in Australia)とする外国会社は、オーストラリアに居住する者を現地代理人として選任し、外国会社の登記を行い、毎年財務情報をASIC(オーストラリア証券投資委員会)に提出する必要があります(オーストラリア会社法第601CD条、第601CF条、第601CK条)。

外国会社がオーストラリアにおいて事業活動を行っている否かの判断は事実問題であり、外国会社の置かれた状況やその活動といった要素を考慮した上で判断されます。オーストラリアの判例法上、「事業活動を行う(carry on a business)」とは、「利益を得る目的で、継続的かつ組織的に(単独の取引ではなく)活動を行うこと(conducting activities on a continuous and systematic basis with a view to profit)」をいうとされています。また、オーストラリア会社法21条は、「外国会社がオーストラリアに事業拠点(place of business)を有している場合」や「外国会社がオーストラリアに所在する財産について運営、管理又は取引を行っている場合」には、「事業活動を行う」場合に該当すると定めています。

このため、外国会社がオーストラリアに拠点を設けていなかったとしても、たとえば、出張や電話・Eメール等でオーストラリア国内の顧客と連絡をとり、繰り返し、かつ定期的に(例えば、年に数回程度以上)当該顧客と取引を行う予定であり、かつその取引の目的が、当該取引を通じて利益を得ることである場合には、当該外国会社はオーストラリアで事業活動を行っていると判断される(したがって、ASICにおける外国会社としての登記等が必要になる)と考えられます。

オーストラリアにおいて事業活動を行なっていると判断される外国会社は非常に多いと思われるにもかかわらず、実際にASICにおいて外国会社としての登記を行っているケースは多くないように思います(この点は、日本の会社法における外国会社に関する規制についても同じだと思います)。但し、実際に遵守されているかどうかは別として、法津上の規制は上記のようになっており、また、過去の裁判例を見ても、裁判所は「オーストラリアにおいて事業を行うこと(carry on business in Australia)」に該当するか否かの判断において、広めに解釈する傾向があり、該当すると判断するケースが多いといえるため、注意が必要です。

また、「オーストラリアにおいて事業活動を行うこと」に該当するか否かという基準は、上記の会社法上の外国会社としての登録に関する規制のみならず、オーストラリア金融業許可(Australian Financial Services Licence)に関する規制(日本の金融商品取引業に関する規制に相当)、不正競争防止(競争・消費者法)に関する規制、個人情報保護に関する規制等のその他の様々な規制が外国会社に適用されるか否かの基準にもなっています。したがって、外国会社が「オーストラリアにおいて事業活動を行うこと」に該当すると判断された場合、ASICの登録のみならず、その他の様々な規制も適用されることになる可能性があるため、注意が必要です。

遺書が無い場合における相続人の範囲と法定相続分

オーストラリアにおいて、遺言書を残さず亡くなった被相続人の相続財産がどのように相続されるか(相続人の範囲及び法定相続分)については、州法が管轄する分野であり、州毎に異なります。以下では代表的な東部三州(New South Wales州、Victoria州及びQueensland州)の法律の定める内容について説明します。

1.NSW州の法律が適用される場合(Succession Act 2006 (NSW)

NSW州の法律が適用される場合、遺言書を残さず亡くなった被相続人の相続財産は、以下のように相続されます。

· 被相続人に配偶者(内縁関係にある者を含む - 以下同じ)が1名いて、かつ子孫がいない場合又は子孫がいるが当該子孫は全て当該配偶者の子孫である場合には、当該配偶者は被相続人の相続財産の全てを相続します。

· 被相続人に配偶者が1名がいて、子孫もいるが当該子孫は当該配偶者の子孫ではない場合には、当該配偶者は、①「被相続人の私物(personal effects)」、②「法定遺産(statutory legacy)」及び③「①と②を控除して残った遺産の2分の1」を相続します。

②の法定遺産(R)は、消費者物価指数(CPI)によって変動し、以下の式によって計算されます。

R = A × C ÷ D


"A" = $350,000.

"C" =
被相続人の死亡日の直前に発表された四半期における消費者物価指数(Consumer Price Index

"D" =2005
12月期(9月から12月の3ヶ月間)における消費者物価指数(Consumer Price Index

· 被相続人に配偶者が2名以上いて、かつ子孫がいない場合又は子孫もいるが当該子孫は全てこれらの配偶者の子孫である場合には、これらの配偶者は被相続人の相続財産の全てを相続します。これらの配偶者間の相続財産は、相続財産分配に関する合意又は命令がある場合には、当該合意又は命令に従って分配され、そのような合意又は命令がない場合には、均等に相続します。

· 被相続人に配偶者が2名以上いて、子孫もいるが当該子孫は当該配偶者の子孫ではない場合には、これらの配偶者は、①「被相続人の私物(personal effects)」、②「法定遺産(statutory legacy)(計算式は上記参照)」及び③「①と②を控除して残った相続財産の2分の1」を相続します。これらの配偶者間の相続財産は、相続財産分配に関する合意又は命令がある場合には、当該合意又は命令に従って分配され、そのような合意又は命令がない場合には、均等に相続します。

· 被相続人に配偶者がおらず、子孫がいる場合、被相続人の子供が相続財産の全てを相続します。子供が亡くなっている場合、当該子供の相続分は当該子供の子孫が相続します。

· 被相続人に配偶者がいて、子孫もいるが当該子孫は当該配偶者の子孫ではない場合には、被相続人の子供は当該配偶者の相続分を除いた相続財産を相続します。子供が複数いる場合には、子供は均等に相続します。子供が亡くなっている場合、当該子供の相続分は当該子供の子孫が相続します。

· 被相続人に配偶者も子孫もいない場合、被相続人の両親が相続財産を均等に相続します。片親しか残っていない場合、当該親が全て相続します。

· 被相続人に配偶者も子孫も親もいない場合、被相続人の兄弟姉妹が相続財産を均等に相続します。被相続人である兄弟姉妹が亡くなっている場合、当該兄弟姉妹の相続分は当該兄弟姉妹の子孫が相続します。

· 被相続人に配偶者も子孫も親も兄弟姉妹(及びその子孫)もいない場合、被相続人の祖父母が相続財産を均等に相続します。

· 被相続人に配偶者も子孫も親も兄弟姉妹(及びその子孫)も祖父母もいない場合、被相続人の親の兄弟姉妹(おじ・おば)が相続財産を均等に相続します。被相続人であるおじ・おばが亡くなっている場合、当該おじ・おばの相続分は当該おじ・おばの子供(一世代限りの代襲)が相続します。

 

2.VIC州の法律が適用される場合(Administration and Probate Act 1958 (VIC)

VIC州の法律が適用される場合、遺言書を残さず亡くなった被相続人の相続財産は、以下のように相続されます。

· 被相続人に配偶者がいて、かつ子孫がいない場合、当該配偶者が相続財産の全てを相続します。

· 被相続人に配偶者がいて、子孫がいる場合、当該配偶者は被相続人の私物(personal chattels)を相続し、さらに、①相続財産が10万ドル以下である場合には、相続財産の全てを相続し、②相続財産が10万ドル超である場合には、10万ドル及び残りの相続財産の3分の1を相続します。

· 被相続人に配偶者が2名以上いる場合、被相続人と内縁関係にある者が被相続人の死の直前にどれだけ長く被相続人の配偶者として暮らしていたかによって相続分が変わります。被相続人と内縁関係にある者が被相続人の配偶者として暮らしていた期間が4年未満である場合には当該内縁関係者は相続財産の3分の1を相続し、残りの3分の2を正式に登録された配偶者が相続します。内縁関係者が被相続人の配偶者として暮らしてきた期間が4年以上5年未満の場合には、当該内縁関係者と正式登録配偶者はそれぞれ相続財産の2分の1ずつを相続し、5年以上6年未満の場合には内縁関係者が3分の1、正式登録配偶者は3分の2を相続し、6年以上の場合には内縁関係者が相続財産の全部を相続します。

· 上記の相続分の分配の結果、残った相続財産については、原則として被相続人の子供達の間で均等に相続されます。子供が亡くなっている場合、当該子供の相続分は当該子供の子孫が相続します。

· 被相続人に配偶者も子孫もいない場合、被相続人の両親が相続財産を均等に相続します。片親しか残っていない場合、当該親が全て相続します。

· 被相続人に配偶者も子孫も親もいない場合、被相続人の直近の親族(兄弟姉妹又は祖父母)が均等に相続しますが、兄弟姉妹(又はその子供(一世代限りの代襲))がいる場合には兄弟姉妹(又はその子供(一世代限りの代襲))が祖父母に優先します。

 

3.QLD州の法律が適用される場合(Succession Act 1981 (QLD)

QLD州の法律が適用される場合、遺言書を残さず亡くなった被相続人の相続財産は、以下のように相続されます。

· 被相続人に配偶者がいて、かつ子孫がいない場合、当該配偶者が相続財産の全てを相続します。

· 被相続人に配偶者が2名以上いて、かつ子孫がいない場合、相続財産分配に関する合意又は命令があれば、当該合意又は命令に従って配偶者間で相続財産は分配されます。そのような合意又は命令がない場合には、配偶者間で相続財産は均等に分配されます。

· 被相続人に配偶者がいて、かつ子孫がいる場合、当該配偶者は相続財産のうち15万ドルと家庭用品(household chattel)を相続し、さらに、①被相続人の子供が1名の場合には、残りの相続財産の2分の1を相続し、②被相続人の子供が2名以上の場合には、残りの相続財産の3分の1を相続します。

· 被相続人に配偶者が2名以上いて、かつ子孫がいる場合、これらの配偶者は相続財産のうち15万ドルと家庭用品(household chattel)を相続し、さらに、①被相続人の子供が1名の場合には、残りの相続財産の2分の1を相続し、②被相続人の子供が2名以上の場合には、残りの相続財産の3分の1を相続します。これらの配偶者が相続する相続財産は、相続財産分配に関する合意又は命令があれば、当該合意又は命令に従ってこれらの配偶者間で分配されます。そのような合意又は命令がない場合には、これらの配偶者間で相続財産は均等に分配されます。

· 上記の分配の結果残った相続財産については、被相続人に子供がいる場合には子供が均等に相続します。子供が亡くなっている場合、当該子供の相続分は当該子供の子孫が相続します。

· 被相続人に配偶者がおらず、子供がいる場合には、子供が相続財産の全部を均等に相続します。子供が亡くなっている場合、当該子供の相続分は当該子供の子孫が相続します。

· 被相続人に配偶者がおらず、子孫もいない場合には、両親が均等に相続します。片親しか残っていない場合、当該親が全て相続します。

· 被相続人に配偶者も子孫も親もいない場合には、兄弟姉妹(又はその子供(一世代限りの代襲))、祖父母、おじ・おば(又はその子供(一世代限りの代襲))の順番で相続します。 

 

「配偶者」→「子供」→「親」→「兄弟姉妹」の順番で相続権を有している点は、基本的にオーストラリア法と日本法は同じであるといえます。オーストラリア法が日本法と大きく異なる点として、内縁の配偶者も結婚登録等されている配偶者と同じレベルで相続権を与えられている点が挙げられます。

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