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2016年12月

2016年12月29日 (木)

オーストラリアの製造物責任法

オーストラリアにも日本と同様に製造物責任(product liability)に関する法律があります。オーストラリアの製造物責任は、コモンロー(判例法)や州法によって規律される部分もありますが、主には連邦法であるCompetition and Consumer Act 2010 (Cth)Schedule 2(別表2)に規定されているAustralian Consumer Law ACL)によって規律されます。ACLは連邦法であるため、オーストラリア全土に等しく適用されます。以下ではACLに定められている製造物責任について説明します。

 

製造物責任の要件

製造者(manufacturer)は、①事業として(in trade or commerce)製品を供給し、②当該製品に安全上の瑕疵(safety defect)があり、③当該瑕疵によって個人が傷害又は財産(個人で使用する目的のものに限る)に損害を被った場合等には、製造物責任を負い、当該損害について賠償をする義務を負います(ACL138条以下)。

「製造者」とは、製品を製造又は組み立てた者のみならず、自らを製品の製造者であると表示させた者や製品をオーストラリアに輸入した者(当該製品の製造者がオーストラリアに事業拠点を有していない場合)を含むとされています(ACL8条)。製品を製造していないが供給(販売等)した者(supplier)は、原則として製造物責任を負いませんが、製造物責任訴訟を開始しようと考えている者から製造者が誰かを知らせるように要求されたにもかかわらず製品の製造者又は当該供給者に製品を供給した者が誰であるかを30日以内に回答しない場合には、当該供給者は当該製造物責任訴訟に関して製造者とみなされて製造者と同等の製造物責任を負うことになります(ACL147条)。

上記②の「安全上の瑕疵」とは、製品の販売方法、包装・表示等、使用方法の説明、合理的に想定される使用方法、供給された時期等に鑑みて通常期待される安全性を備えていないことをいいます(ACL9条)。したがって、製品の販売方法、包装・表示等、使用方法の説明等について定める際には、安全性に関する過度な期待を生じさせないように、また製品に関して適切な情報が提供されるように注意する必要があります。

上記③については、瑕疵と傷害との間に因果関係(causal connection)があれば足り、製造者に過失(negligence)があったことは必要とされません。この点は日本の製造物責任と同じです。

 

製造物責任の免責事由

上記の製造物責任の要件が全て満たされている場合であっても、製品に関する安全上の瑕疵が、(1)製造者によって当該製品が供給された時点において存在していなかった場合、(2)当該製品に関する強制的な基準に従ったことによって生じた場合、(3)製造者によって当該製品が供給された時点における科学的又は技術的な知見では発見することができなかった場合、又は、(4)当該製品が他の製品の一部として組み込まれた場合において当該他の製品の設計、表示、指示等のみに起因して生じた場合には、製造者は製造物責任を負わないものとされています(ACL142条)。

 

製造物責任の消滅時効・除斥期間

製造物責任を追及しようとする者は、「被った損害」、「製品の安全上の瑕疵」及び「当該製品の製造者」について認識した時点又は合理的に認識すべきであった時点から3年以内に製造物責任に関する訴訟を提起する必要があります。また、製造物責任に関する訴訟は、製造者が製品を供給してから10年以内に提起される必要があります(ACL143条)。

 

その他の手段

製造物責任を追及しようとする者は、製造者に対して訴訟提起をするのみならず、当局であるAustralian Competition and Consumer Commission (ACCC)等に対して苦情を申し立てることにより、当局による対応を求めることもできます。例えば、申立を受けた当局は、申立者に代わって製造者に対して訴訟を提起することもできます(ACL第149条)。

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