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2017年3月14日 (火)

オーストラリアにおける外国仲裁判断の執行

以前に「オーストラリアにおける外国判決の執行」に関する記事を書きましたので、今回は「オーストラリアにおける外国仲裁判断の執行」に関する記事を書きます。

1.ニューヨーク条約と国際仲裁法

外国の仲裁廷で出された仲裁判断の執行については、1958年の「外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約(Convention on the Recognition and Enforcement of Foreign Arbitral Awards)」(いわゆるニューヨーク条約(New York Convention))が存在し、オーストラリアや日本を含む150以上の国が締結国となっています。このニューヨーク条約に基づき、オーストラリアでは国際仲裁法(International Arbitration Act 1974 (Cth))が制定されており、オーストラリアで外国仲裁判断を執行する際にはこの国際仲裁法に基づいて行うことになります。

国際仲裁法において、外国(オーストラリア以外の国、ニューヨーク条約締結国に限られない)の仲裁廷が出した仲裁判断は、仲裁契約の当事者に対して拘束力を有し、その執行に際してオーストラリア国内の裁判所の判決と同等の効力を認められることになっています(国際仲裁法第8条(1)~(3))。

2.外国仲裁判断の執行方法

外国仲裁判断の執行は、オーストラリアの裁判所に対して申立てを行い、外国仲裁判断の認証済原本(authenticated original)又は認証済謄本(certified copy)、及び仲裁の合意を規定した仲裁契約の原本又は認証済謄本を提出して、外国仲裁判断とその根拠となる仲裁契約の存在を立証することによって行います(国際仲裁法第9条(1))。

これに対して、外国仲裁判断の執行の対象となる相手方は、以下のいずれかの事由を裁判所に対して証明することによって、外国仲裁判断の執行を認めないように裁判所に対して請求することができます(国際仲裁法第8条(5))。
(1)仲裁契約の当事者が、仲裁契約が締結された時点において、当該当事者に適用される法律の下で行為能力を欠いていた場合
(2)仲裁契約が当該仲裁契約の準拠法(準拠法が明記されていない場合には仲裁判断がなされた国の法律)の下で無効とされる場合
(3)仲裁手続において相手方当事者が適切な防御の機会を与えられなかった場合
(4)仲裁判断の内容が当事者が判断を求めた事項を超えたものとなっている場合
(5)仲裁廷の構成又は仲裁手続が当事者の合意(そのような合意が無い場合には仲裁地の法律)に従っていない場合
(6)仲裁判断が仲裁契約の当事者に対して拘束力を有するものとなっていない場合、又は仲裁判断がなされた国又は仲裁判断が準拠した法律を定めた国の政府機関によって取消され、若しくは停止された場合

また、相手方からの主張が無くても、裁判所は以下のいずれかの事由に該当すると判断する場合には、外国仲裁判断の執行を認めないことができます(国際仲裁法第8条(7))。
(1)仲裁判断の対象事項が、当該裁判所が所在する州・準州の法律の下で、仲裁によって解決することができないとされる事項である場合
(2)仲裁判断を執行することが公序良俗に反する場合

3.外国仲裁判断の執行に要する時間

外国仲裁判断の執行に関するオーストラリアの裁判所の手続は、シンプルなケースであれば通常であれば1~2ヶ月ですみますが、複雑なケースであれば数ヶ月、長ければ1年以上かかる場合もあります。

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