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2018年5月20日 (日)

Managed Investment Scheme(MIS)の概要(1)

オーストラリアの投資関連の法律を理解する上でManaged Investment SchemeMIS)の理解は欠かせません。オーストラリアで投資を行う際に使用されるビークルは、大きく見て「会社(Company)」と「信託(Trust、特にUnit Trust)」の2つであり、金融商品規制の観点からみると、会社の出資持分(株式)は「有価証券(Security)」に分類され、信託の出資持分(受益権、Unit)は「MIS」に分類され、有価証券とMISのいずれも「金融商品(Financial Product)」として投資家保護のための開示規制や業規制が課されることになります。オーストラリア証券取引所(ASX)には多くのMISが上場されていますし(たとえば、オーストラリアのREITMISです)、非上場のプライベートなファンドにもMISは多く利用されています。

MISの定義

MISとは、複数(2名以上)の出資者が金銭等を拠出し合って共同して経済的な利益を得るために権益を取得するスキームをいい、当該出資者が当該スキームの日々の運営に関与しないものをいいます(但し、会社、組合等を除く)(会社法第9条「Managed Investment Scheme」の定義)。

英語の原文ではMISの定義は、以下のようになっています。

a scheme that has the following features:  

(i) people contribute money or money's worth as consideration to acquire rights (interests) to benefits produced by the scheme (whether the rights are actual, prospective or contingent and whether they are enforceable or not);

(ii) any of the contributions are to be pooled, or used in a common enterprise, to produce financial benefits, or benefits consisting of rights or interests in property, for the people (the members) who hold interests in the scheme (whether as contributors to the scheme or as people who have acquired interests from holders);

(iii)  the members do not have day-to-day control over the operation of the scheme (whether or not they have the right to be consulted or to give directions)

MISは、日本法との比較で言うと、金融商品取引法第2条第2項第5号のいわゆる集団投資スキームに相当するものといえます。

一般に、投資目的で設立される信託は上記のMISの要件を満たし、MISに該当します。

ASICへの登録

MISは、以下のいずれかに該当する場合には、豪州証券投資委員会(Australian Securities and Investments Commission - ASIC)への登録が必要になります(会社法601ED条)。

(1)20名を超える出資者(メンバー)がいる場合

(2)MISの勧誘・販売を業とする者又はその関連者によって勧誘・販売される場合

(3)MISとその他の関連スキームで合計20名を超える出資者(メンバー)がいて、ASICへの登録が必要であるとASICが判断した場合

但し、その発行する持分の募集の際にProduct Disclosure StatementPDS)の交付が必要にならないMISは、ASICへの登録は必要となりません。PDSについては次の記事の説明をご参照ください。

MISASICに登録されると、Australian Registered Scheme NumberARSN)という番号がASICから割り当てられます(会社法601EB(2))。これは会社のAustralian Company NumberACN)に相当するものであり、MISや会社を特定するために使用されます(MISや会社が当事者になる契約書ではMISや会社の名称のみならずARSNACNも記載して当事者を特定するのが通常です)。

ASICに登録されたMISについては、会社と同じように、その基本情報をASICのウェブサイトから入手することが可能です。

Responsible Entity

ASICに登録するMISRegistered MIS)は、その運営を担当する者(Responsible Entityと呼ばれます。MISが信託である場合には、受託者がこれに該当します)を任命し、ASICに登録しなければなりません。Responsible Entityは、Australian Financial Services LicenceAFSL)を有しているPublic Company(公開会社)でなければならないとされています(会社法601FA条)。AFSLの説明についてはこちらの記事を、Public Companyの説明についてはこちらの記事を参照ください。

Responsible Entityは、MISの運営に関して、善管注意義務、忠実義務、MISの財産の分別管理義務、MISConstitution及びCompliance Planを遵守する義務、法令違反に関するASICへの通知義務等の様々な義務を負います(会社法601FC条)。

Constitution(定款)

Registered MISは、会社と同じように、その組織・運営に関する基本文書であるConstitution(定款)を有していなければなりません(会社法601GA条以下)。信託のMISである場合には、信託契約がこのConstitutionに該当します。MISConstitutionには、Responsible Entityの権限を定める規定、Responsible Entityの報酬を定める規定、MISの持分権者(メンバー)の承認が必要になる事項(特別決議事項、普通決議事項等)の規定、メンバーのMISからのExitに関する規定等が規定され、Responsible EntityConstitutionの内容にしたがってMISを運営する必要があります。Registered MISConstitutionASICに登録されるため、誰でも所定の金額を払えば、ASICの登記情報としてオンラインで入手することが可能です。

以下、長くなるので次回に続きます。

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