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2020年1月13日 (月)

オーストラリアにおける不動産開発

オーストラリアにおいては多くの日本企業が不動産(居住用不動産、商業用不動産)の開発案件に参画しています。今回はこの不動産開発の手続について説明します。

(1)不動産開発手続

不動産開発の手続の大まかな流れは、「土地の取得」⇒「開発許可の取得」⇒「販売・賃貸の開始」⇒「建築確認の取得」⇒「検査済証の取得(及び区分所有登記の完了)」⇒「決済(引渡し)・利用開始」となります。

以下、各ステップの内容について説明します。

(2)土地の取得

不動産開発を行う者は、開発用のSPV(会社又はunit trust)を設立し、当該SPVをして第三者から土地を購入して取得します。不動産開発者が外国人(foreign person)である場合には、土地の購入に際してFIRBの許可が必要になる場合があります(以前の記事を参照)。

(3)開発許可の取得

建物を建築する際には建築する建物の高さ、デザイン、戸数、容積率、総床面積、建蔽率等の具体的な条件について開発許可(development approval)を取得する必要があります。開発許可を出す政府機関は、原則としてLocal City Council(市政府)ですが、重大な開発案件であれば州政府になります。政府機関は開発許可の申請書類を都市計画規制(planning regulations)に照らしてレビューし、申請内容が規制(用途、高さ、容積率の制限など)に合致しているのであれば開発許可を出します。開発許可には様々な条件が付されるのが通常です。開発許可の申請書類を出す前に申請者は政府機関と事前に協議をするのが通常です。また、開発許可がなされる前に申請内容は一般に公表されて、一般の人が申請内容について意見を提出できます。こういった申請前の事前協議や公表・意見徴収の期間も含めると開発許可の取得手続には13年かかるのが通常です。

なお、開発に際して土地の用途を変更する(例えば工業用地を住宅用地に変更する)場合、政府機関に対して都市計画規制そのものの変更を要求しなければなりません。この用途変更の手続(都市計画規制の変更手続)を行う場合、開発許可の取得には上記よりもさらに時間がかかることになります。

(4)販売・賃貸の開始

開発許可が取得できると、どのような建物のデザイン、総面積、戸数などが確定できるため、開発業者は住居用不動産(マンションやタウンハウスなど)であれば顧客への販売を開始し(pre-sale)、商業用不動産(リテール、オフィスなど)であればテナントの募集を開始するのが通常です(pre-lease)。建物の建築の際には外部の金融機関からファイナンスを受けるのが通常ですが、金融機関は一定以上の戸数が販売又は賃貸できたことをローン実行のCP(前提条件)とするため、販売・賃貸が上手くいかないとファイナンスが受けられずに建物の建築が進められないことになります。

(5)建築確認の取得

開発許可は都市開発規制(planning regulations)の観点から開発の適法性を判断するものですが、建築確認(construction permit)は建物建築規制の観点からの建築の適法性を判断するものです。建物の構造や建材が建物建築規制(Building Code of Australia)に適合しているか否かを判断するとともに、開発許可の内容にも合致しているかも判断されます。開発業者は建築確認を得なければ、建物の建築を開始することはできません。建築確認は政府機関(市政府)又はbuilding certifierと呼ばれる民間の有資格者が与えることができます。建築確認の取得には申請から4~6週間程度かかるのが通常です。

(6)検査済証の取得

建物の建築が完了した場合、政府機関(市政府)又はbuilding certifierから検査済証(occupation certificate)を取得します。これは実際に建築された建物が建物建築規制(Building Code of Australia)や開発許可に適合していることを確認し、人が居住・利用できる状態になっていることを示すものです。検査済証が取得されていなければ建物に居住したり、利用することはできません。

(7)区分所有登記の完了

建築した建物が区分所有建物(strata scheme)である場合、区分所有図面(starata plan)を作成し、これを登記機関において登記する必要があります。この区分所有図面の登記によって不動産は区分所有物件となり、不動産にかかる区分所有権が発生します。オーストラリアの区分所有法については、以前の記事を参照ください。

(8)決済(引渡し)・利用開始

検査済証を取得し、区分所有登記が完了してはじめて建物を購入者や利用者(賃借人)に引き渡すことが可能になります。

 

以上がオーストラリアにおける不動産開発の流れになります。都市開発規制に基づく開発許可を得て、その後で建物建築規制に基づく建築確認を得て、建物建築後に検査済証を取得して区分所有登記を行うという大きな手続の流れは日本と同様であると思います。

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