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2021年2月28日 (日)

オーストラリアの不動産開発によく見られるストラクチャー

オーストラリアにおいて不動産開発を行う際に、「開発行為を行う主体(開発業者)」と「開発対象となる土地を保有する主体(土地所有者)」が別々になっていることがよく見られます。

開発業者が自分で開発する土地を保有しているのがシンプルですが、諸々の事情により開発業者と土地所有者が別々になることがあります。たとえば、以下の(1)~(3)のような事情が考えられます。

(1)土地所有者がCapital Gainの減免を受けられるようにするために開発業者と土地所有者を別々にする場合:以前のブログ記事を参照

(2)第三者である土地所有者が開発業者に対して土地の所有権は譲渡はしないものの土地の開発には同意する場合:土地所有者からすると単純に土地を開発業者に売却するよりも開発に関与することでより多くの利益を得ることが期待でき、また、開発業者としても土地所有者からの土地の譲渡による印紙税を節約することができます。

(3)開発業者が土地を取得した上で第三者から開発プロジェクトへの出資を募ることを想定している場合:当該第三者が土地所有者の主体の持分を取得すると当該第三者が土地所有者が保有している土地の譲渡を受けたのと同様であるとして印紙税(Landholder Duty)が発生する可能性がありますが、開発業者の主体の持分を取得しても印紙税は発生しません。

上記のように開発業者と土地所有者が別個となっている場合、開発業者と土地所有者の間では、「開発業者が土地所有者から土地を提供してもらい、当該土地において開発行為(マンションの建設など)を行う権利を与えてもらう代わりに、土地所有者に対して開発から得られた利益の一定割合を提供する」という合意がなされるのが通常です。このような合意が規定された契約書は、一般的にDevelopment Agreementなどと呼ばれます。

このDevelopment Agreementでは、基本的に開発に関する全ての業務を開発業者で行い、その費用を負担することになります。すなわち、開発業者の方で開発許可を申請して取得し、販売業者を雇って開発物件の販売行為を行い、銀行からローンを受けて、建築業者に建物を建築させるという開発に関する一連の業務を開発業者の責任で行い、その費用を負担することになります(オーストラリアにおける不動産の開発手続については以前のブログ記事を参照)。その代わりに、開発から上がる利益(販売収益からローンの元本・金利返済額、建築費用、販売費用等のプロジェクト費用を差し引いたもの)については、土地所有者に一定の金額(土地の価値相当額+一定の利息金額)を渡した後は、Development Fee(開発の報酬)として、残りは全て開発業者のものとなる(開発の利益は開発業者に落ちる)ようにするのが一般的です。又は、土地所有者に一定の金額を渡すのではなく、開発した物件の一部(例えば、当該金額に相当する価値のマンションの戸数)を分け与えるアレンジメントがなされることもあります。

土地所有者に開発の利益を与えないようにすることは土地の所有者が得た上記の金額(土地の価値相当額+一定の利息金額)がmere realisation of a capital assetとしてCapital Gainとみなされて、Capital Gainの減免を受けられるようにするためにも重要になります。この減免が受けられると土地所有者にとって非常に有利ですが、Capital Gainとみなせて減免が受けられるか否かについては、土地所有者の開発への関与の程度など様々な要素を総合的に考慮した上で判断されることになるため、税務専門家のアドバイスを受けることが必要です。

日本企業がオーストラリアの不動産開発プロジェクトに参画する場合、上記のような土地所有者と開発業者が別々になっており、日本企業は土地所有者に対しては出資せず、開発業者に対してのみ出資をすることが求められるケースが多いと考えます。このようなストラクチャーや出資方法に問題があるわけではありませんが、このような場合には、土地所有者と開発業者の間で締結されているはずのDevelopment Agreementをしっかりとレビューし、開発プロジェクトの利益が開発業者に落ちることになっていることを確認する必要があります。また、土地所有者がDevelopment Agreementを履行しない場合(Development Feeの不払いなど)に備えて、開発業者が土地所有者の保有する土地に抵当権を設定しているかも確認すべきポイントになります(金融機関からのローンを受ける場合には、金融機関の抵当権が1番抵当権となり、開発業者の抵当権は2番抵当権となります)。

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